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君たちはどう英文解釈をやるのか? ①目的・方法編

 大学入試英語の勉強の定番と言えば英文解釈!!ですが、どういうやり方でやるのがいいのでしょうか?なんのためにやるものなのでしょうか?


 今回の記事では英文解釈のやり方について、僕がオンライン家庭教師として大学受験指導を行う中で大事にしていることを紹介していきます。


何のためにやるのか

 まずは、なぜ英文解釈を勉強するのかを考えてみましょう。 大学受験では長文の配点が高いです。大学によって配点や設問形式は違いますが、多くの大学で一番配点が高いのは長文でしょう。長文を読むための基礎として、まずは短い文章を正確に読むことが大事になります。(いや、長文が大事なら長文演習すればいいじゃんと思う人はこちらの記事を読んでみてくださいhttps://note.com/preview/n0b8def316e56?prev_access_key=e9cd898342549d64df0054189ebd9694

 また、僕は勉強のコスパがいいのも長文だと思っています。4技能全て大事ですが、まず読解ができないと他の技能を伸ばすのは大変です。ゆっくり読んで理解できない文章をリスニングで理解できるわけがないですよね?一文一文の正確な読解が受験勉強のスタートとして最適です(あと単語と基本的な文法)。

 正直なところ、読解が得意になればそれだけで受験ではかなり有利に立ててしまいます。配点が高いし、高得点を狙いやすい分野だからです。それと比較すると、英作文は高いレベルを目指すと覚えるべきことが膨大になるので、ほどほどのところで妥協した方が受験では有利だと思います。受験では長文で点を稼いで他の分野はほどほどの得点でまとめて英語全体である程度点を稼ぐというのが基本的な勝ちパターンになります。


どういうやり方でやるのか

 英文解釈の重要性を軽く確認したところで、英文解釈をどういう意識でやるかという話にうつりましょう。差がつくポイントは、やる内容ではなくどういう意識でやるかです。

 僕が一番大事だと思うことは、「日本語の思考回路をオフにして、英語の思考回路で考える習慣をつけること」です。英語が苦手な人にありがちな読み方は、知っている単語の訳をつなぎ合わせて意味が通る日本語訳を作り上げる読み方です。この読み方を完全にやめるために英文解釈をやります。

 英語の思考回路で読むとはどういうことでしょう?僕は英語ネイティブではないので、ほんとのところは分からないですが、構文から意味を取るということだと思っています。

 英語は語順を大切にする言語です。一方で日本語は英語よりも語順の自由度が高いです。単語の意味をとってそれを適当につなぎあわせただけでは英文の意味は取れません。英語は単語がどのように並んでいるかで意味が決まってきます。「この語順だからこういう意味になる」と考えられるようになってきたらいい感じです。

 英語→構文から意味を取る→日本語に訳すという過程を経ることが大事です。構文から意味を取るという段階を経ずに英語→日本語に直接訳そうとするのはよくないです。この読み方に挑戦すると最初は読みにくいはずです。だって、単語をつなぎ合わせればなんとなく意味が取れるのにそれを我慢しないといけないからです。でも、今までやってきた悪い習慣を捨てるためには、ここでぐっと我慢することが大事です。長文を読むと、ついつい内容を早く理解したい気持ちが出てきてしまうので、この意識を徹底するのが難しくなります。だから、僕はこの過程では短い文章を正確に読む英文解釈をおすすめしています。受験勉強の前半では長文演習はいっさいやらず、秋から冬にようやく長文演習を始めることが多いです。

 英文解釈をやるときは、課のテーマを意識するだけではもったいないです。例えば、so that構文の課をやるときにso that構文の形を覚えて終わりというのはもったいないです。それよりも、全ての英文において英語の思考回路で読むことを習慣化することが大事です。例えば、SVOはSVOらしく訳す。こういうことの方が大事です。こういう意識でやっていると一つ一つの英文から学べることが沢山あります。

 構文解釈で大事なことは、パターンをたくさん覚えることよりも、日本語の思考回路をオフにして英語の思考回路に頭を切り替えることです。日本語の思考回路のままで、構文のパターンをいろいろ覚えても英文解釈の効果は薄いです。

 では、具体的にどういうやり方で問題を解くといいでしょうか。僕はきっちりSVOCを書き込み、節や句は括弧の種類を使い分けて<名詞>・[形容詞]・(副詞)のどの役割をしているかをとっていきます。


↑生徒の答案の例


 ちょっと細かすぎるぐらいにこだわることが大事です。英文は手で書いて、日本語訳も手で書きます。時間をかけてじっくり考えた方がいいと思うからです。問題を解く段階では単語は調べずに解きます。本番でも分からない単語は分からないなりに対処しなければいけないからです。英文解釈の力が高いほど知らない単語に対処する力も高くなります。復習のやり方には特にこだわりはありませんが、この段階で何十回と音読するのもありだと思います。理屈で理解した英文を理屈を意識しなくても理解できるレベルにまで落とし込むために、音読は効果的です。

 しっかり日本語訳を毎回作ることが大切です。そうすることで、自分の理解の浅いところが炙り出されるからです。頭の中で訳を作って、答えを確認すると「うん、だいたい同じこと考えてたな。OK」となりがちです。構文解釈は理屈にこだわることが大事なので、こういう大雑把なやり方をするのはおすすめしません。ただし、実際に入試問題を解くときは日本語に訳す必要はありません(和訳の問題以外)。構文解釈に慣れてきたら英語→構文から意味を取るという過程だけを経ればよくなります。構文→日本語に訳すという過程は熟練していくと次第に抜け落ちてきます。

 僕の英語の授業は英文解釈の添削が中心です。答案を見れば生徒が何を考えているかは一目瞭然です。生徒の思考回路を把握して授業ができるので質の高い授業ができます。

 やり方の中では直し方が大事です。自分がどこで間違えたのかを突き止められるかどうかで学習効果が大きく変わってきます。ミスの種類はおおまかに3種類あります。

  • 構文を取れていなかった

  • 単語の意味を知らなかった

  • 自然な日本語にすることができなかった

 重大なミスはどれでしょうか?構文が取れていないことです。まず構文を取って、それから日本語に訳すのだから、より早い段階でのミスはより致命的です。日本語訳は入試本番ではあまり必要なくなるのだから、その段階でのミスについてはあまり神経質になる必要はありません。

 3種類のミスを挙げましたが、それ以前のお話にならないパターンがあります。それは構文と訳が一致していないパターンです。構文が間違っているのに訳だけ合っているとか構文は合っているのに訳だけ間違っているというパターンです。これは構文から意味を取っていない証拠なので、これでは構文解釈をやっている意味自体がなくなってきます。特に、構文が違うのに日本語が合っているパターンは、日本語の頭で考えている証拠になります。構文を書き込むことがただの作業になっていて和訳と結びついていないとも言えます。

 よくない直し方は、自分の解答の日本語訳と模範解答の日本語訳を見比べるばかりになる直し方です。それじゃあ国語の勉強じゃないですか?比較するべきは自分が取った構文と模範解答の構文です。そして、自分の構文の取り方の間違いが、どのように訳の違いに反映されているかを確認するのです。ここはこだわるところです。 英文解釈に限らず、間違いを自分で直す力というのは勉強において非常に重要です。これができれば、たいていのことは独学でなんとかなります。

 今回の記事は以上です。次回は、どういう段階を踏んで構文解釈に習熟していくかを書きます。

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