今回は自分の指導スタイルの特徴を考察してみます。
指導方針を放牧型とブロイラー型の二種類に分ける話を聞いたことがあります。 放牧型はのびのびと放し飼いにする育て方で、ブロイラー型は厩舎の中できちんと管理する育て方という意味です。
この分類で言うと、私の教え方はブロイラー型です。 (私は放牧型で育ったんですけどね。放牧どころか野生だったかもしれません笑)
一週間、合計168時間の過ごし方をきちっと決めて、各教材の進め方を細かく指定することが多いです。
特に、受験生相手の指導では、こうなります。
生徒を型に嵌めます。 こう言うと「自分で考える」力を奪ってはいないかと考える方もいるでしょう。 私は「自分で考えることが大切」という言葉は考えものだと思っています。果たして、中高生がゼロから創造的な思考を繰り広げられるでしょうか?知識がない人が「自分で考えて」も月並みなアイディアしか出せないものです。
過去の偉大な知識人たちも、そのほとんどは先達の思考の上に自らの思想を築いています。 また世阿弥の「守破離」という言葉もあります。 まずは、ある型に自分を嵌めてみることが大切だと思います。「守」の段階では、型を徹底的に模倣します。そうすることで、型の背後にある思考法まで体得できるようになるのです。この段階では「徹底的に」模倣することが大事です。中途半端に取り入れるだけでは、型の背後にある思想まで到達できません。情報が溢れている時代なので、情報のつまみ食いになりがちですが、それでは一定以上の成長は望めません。
私の指導では、私の型を真似してもらいます。「破」や「離」の段階は大学・社会人でやってもらえばいいと思っています。 もちろん、私の型が完璧なものであるわけではありません。また、優劣がつけがたい、相対する立場もあります。例えば、理屈を重視するか暗記を重視するかなど。 ある型と別の型の優劣を比較することに終始するよりも、どちらかをとりあえず選んでしまって、それを血肉化した方が得るものは多いです。理屈と暗記のどちらで勝負するかの判断よりも、どちらかのスタイルを極めることの方が重要です。
だから、私の生徒には、私を利用し尽くす意識を持って欲しい思っています。受動と能動は両立するものです。能動的(主体的)な意識で真剣に授業を受けていれば、私の勉強法を真似していても「自分で考える」力はつくものです。
型という言葉を使ってきたので、画一的な指導を想像された方も多いかもしれません。 実際は、生徒一人一人で型は違います。生徒の性格・学力・目標のレベルなどに合わせて、授業の内容や使用教材は当然変わってきます。オーダーメイドの型を作るわけです。 (そもそも私が教える勉強法は、私が高校生のときにしていた勉強法とは全く違うものなので、自分の成功体験を押し付けているわけでは決してありません。)
また、私は慎重で堅実なタイプなので、一発逆転を狙って博打を打つような計画は提案しません。合格が難しいと思えば、初回の指導でそのことを伝えます。(下手に希望を見せるよりもその方が生徒から信頼されます。もちろん頭ごなしに可能性を否定するのではなく、どの点が厳しいのか論理的に示します。) 代わりに、確実に伸びる(目安として、半年で偏差値10くらい)プランを提案します。 基礎をしっかり固めて、零れ落ちそうな部分を徹底フォローするスタイルです。添削を繰り返して、時間をかけて、考え方を変えていきます。 こういうやり方なので、長期間担当した生徒の9割は成績を伸ばしています。(伸びるようなタイプだけが私に仕事を依頼している可能性もありますが)